ヒラメ筋と腓腹筋──同じ「ふくらはぎ」でも、役割は違う?バレエの動きと関連付けて解説!

ふくらはぎは「第2の心臓」とも呼ばれ、血液の循環や脚の安定に欠かせない筋肉です。

レッスン中や日常生活で、ふくらはぎがパンパンに張ったり、むくんで重だるく感じたりすることも多いのではないでしょうか。

  • ジャンプ後にふくらはぎだけが異常に疲れる
  • ルルべをすると足首が揺れて止まれない
  • プリエを深くすると、かえって脚が不安定になる

これらは単なる筋力不足ではなく、ふくらはぎの中でどの筋肉を使っているかの偏りが原因になっていることも少なくありません。

ふくらはぎを一つの筋肉として捉えるのではなく、中身を理解することが、動きの質を変える第一歩になります。

一般的には一括りに「ふくらはぎ」と呼ばれますが、解剖学的には腓腹筋とヒラメ筋の2つの筋肉からなり、合わせて下腿三頭筋と呼ばれます。

見た目は同じでも、それぞれの筋肉の働きは大きく異なります。

今回は、

  • 腓腹筋とヒラメ筋の解剖学的な違い
  • それぞれの特徴
  • バレエの動きとの関連
  • それぞれの筋肉を意識できるトレーニング

について整理しながら解説します。

目次

腓腹筋とヒラメ筋の解剖

腓腹筋

起始停止作用性質
• 内側頭
大腿骨膝窩部/内側上顆
/関節包
• 外側頭
大腿骨外側上顆
/関節包
ヒラメ筋腱と合してアキレス腱となり踵骨隆起につく足関節の底屈
膝関節の屈曲
二関節筋(膝関節+足関節をまたぐ)
白筋(速筋)優位
スクロールできます
起始停止作用性質
• 内側頭
大腿骨膝窩部/内側上顆/関節包
• 外側頭
大腿骨外側上顆/関節包
ヒラメ筋腱と合してアキレス腱となり踵骨隆起につく足関節の底屈
膝関節の屈曲
二関節筋(膝関節+足関節をまたぐ)
白筋(速筋)優位

腓腹筋はふくらはぎの表面にある膨らみの筋肉で、足首を伸ばしてつま先を下に向ける動きと膝を曲げる動きで働く筋肉です。

また膝関節と足関節をまたぐ二関節筋です。

ヒラメ筋

起始停止作用性質
腓骨頭/脛骨内側縁腓腹筋腱と合してアキレス腱となり踵骨隆起につく足関節の底屈単関節筋(足関節のみ)
赤筋(遅筋)優位
スクロールできます
起始停止作用性質
腓骨頭/脛骨内側縁腓腹筋腱と合してアキレス腱となり踵骨隆起につく足関節の底屈単関節筋(足関節のみ)
赤筋(遅筋)優位

ヒラメ筋は腓腹筋の奥にある筋肉で、こちらも足首を伸ばしてつま先を下に向ける動きで働く筋肉です。

腓腹筋と違い、膝関節はまたがず、足関節のみの単関節筋です。

それぞれの筋肉の特徴

腓腹筋

  • 膝が伸びた状態で最大の力を発揮
  • 膝が曲がると緩み、出力が低下
  • 瞬間的な力を出す「バネ」のような筋肉
  • ダッシュ・ジャンプ・坂道の蹴り出しで活躍

腓腹筋は速筋(白筋)でできており、瞬発力に優れています。

短時間で大きな力を発揮するため、素早い動きや高さ、キレを生み出します。

ヒラメ筋

  • 下肢で最も生理学的断面積が大きい
  • 長時間、安定した力を出し続けられる
  • 立位でのわずかな揺れをコントロール
  • 姿勢保持に優れ、疲れにくい(postural muscle)

ヒラメ筋は遅筋(赤筋)で、持続力に優れ、細かい姿勢調整やバランス維持に活躍します。

軸を支える「土台」のような役割を担います。

バレエの動きと筋肉の使い分け

腓腹筋が使えることで跳ぶ、勢いよく立ち上がることができます。

ヒラメ筋が使えることで安定して止まる、軸を支えることができます。

バレエでは、この2つの筋肉が

常に役割分担しながら働いています。

たとえば

  • プリエの沈み→ 主にヒラメ筋(重心を下げながら安定させる)
  • ジャンプの蹴り出し・ルルべの立ち上がり→ 腓腹筋が強く働く (瞬発的な出力)
  • ルルべのキープ・片脚バランス→ ヒラメ筋(揺れを抑え、姿勢を保つ)

膝が曲がった深いプリエでは腓腹筋の力は緩み、主役はヒラメ筋にシフトします。

その後、膝が伸びていく過程で腓腹筋へとスムーズに力が受け渡されることで、素早く跳び上がる動きが可能になります。

腓腹筋だけで頑張ったり、ヒラメ筋が十分に使えなかったりすると、張りやすく疲れやすい脚になり、安定性も低下しやすくなります。

実際のケース

例えば、アキレス腱炎を何度も繰り返していたあるバレエダンサーでは、腓腹筋の張りが強い一方で、ヒラメ筋の筋力低下が認められました。

ジャンプやルルべの際、腓腹筋に頼りすぎることでアキレス腱への負担が集中していたと考えられます。

そこでヒラメ筋を中心としたトレーニングを行ったところ、徐々にルルべの安定感が増し、結果として繰り返していたアキレス腱の痛みに悩まされることはなくなりました。

このように、ヒラメ筋の働きが鍵になるケースは少なくありません。

目立ちにくいヒラメ筋ですが、土台としてしっかり働くことで、腓腹筋やアキレス腱を守る役割も果たしているのです。

それぞれのトレーニング

座位踵上げ(ヒラメ筋)

膝を90度前後に曲げ、椅子に座ります
上半身は丸まらないようにしましょう
つま先と膝は正面に向けたまま踵を上げます

エラー動作

踵が内外にブレたり、母趾球が浮いてしまう

立位踵上げ(腓腹筋)

膝を伸ばした状態で腰幅で立ちます
つま先と膝を正面に向け、踵を上げます
壁に軽く手をついて行いましょう

エラー動作

壁を強く押したり、体が前後に動いてしまう

まとめ

大切なのは、「どちらの筋肉が優れているか」ではありません。

瞬発的な力も安定した力も、どちらも必要です。

まずは、自分のふくらはぎで

  • どこが疲れやすいか
  • どこが使いやすい/使いづらいか

を意識してみましょう。

その感覚こそが、今どちらの筋肉に頼っているかを知るヒントになります。

使い方を理解し、意識して動かすことで、腓腹筋とヒラメ筋を使い分けられるようになり踊りのパフォーマンスはさらに向上します。


執筆者:中込 優平
Yuhei Nakagome

帝京大学 医療技術学部スポーツ医療学科 健康スポーツコース卒業
神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科卒業

鍼師・灸師・按摩マッサージ指圧師
健康運動実践指導者

私は大学時代、 市営の体育館のトレーニングルームで運動指導をしていましたが、当時の自分にはお客様が肩や腰が痛いと仰っても解決する手立てがありませんでした。
そこから鍼灸あん摩マッサージ指圧師に興味を持ち始め、資格を取得しました。
日常生活の中で肩こりや腰痛などで悩み、 やりたいことができない方やもっと健康で良い生活をしていきたい方、 そんな方々のお力になりたいと考えています。

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